まん丸とした目を持った魚が、漆器の上を所狭しと泳いでいる。
名前を持たぬこの魚、生みの親であるのが、蒔絵師の大竹信一さんです。
大竹さんのスタイルを一言で表すとすれば“伝統工芸×漫画”と言えるのではないでしょうか?
漆に顔料を混ぜて作る色漆を使い、大竹さんが描く魚や鳳凰などは、どこかアニメチックで愛らしく、漆器の世界ではあまり見ることのできない、大竹さん独特の雰囲気を醸し出しています。今にも吹き出しからこちらに話しかけてきそうです。このようなデザインを描く大竹さんとはどんな職人さんなのでしょうか?
物心つく前から絵を描いていたと言うほど、絵が好きだったという大竹さん。そんな大竹さんも高校卒業後は、ある会社に勤め、サラリーマンの経験もお持ちだそうです。
「もともと家業は、漆器の職人などではなく、私自身、蒔絵の存在自体知りませんでした。」と話す大竹さん。
サラリーマン時代、漠然と絵を描く仕事がしたいという思いを持ちながら、どうしても仕事にやりがいを感じることができずにいた大竹さん。そんなある日、たまたま見ていたテレビで蒔絵師の存在を知り、当時、新潟でお仕事なされていた大竹さんは、実際に蒔絵がどんなものかを会津若松市まで見学に来られたそうです。